コンデジ持ってブラブラ 私の日常&非日常

独断と偏見の個人的な備忘録です。最近、コンデジが故障したので、スマホで撮影しています。

名無しの拙作 第2作目 第3-5話 妖怪(あやかし)の友達

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妖怪(あやかし)のとんでもない事実を知ってしまったと思っていて動揺しているのは綾香だけで当の龍児は何にも気にしていないのかサバサバとした顔をしていた。


「信じてくれて良かったよ。妖怪(あやかし)を信じない人間が増えているからさ」


「私も今の今まで、妖怪(あやかし)はいないと思っていたけど」


「流石、幸子の孫だよな。幸子は、この村では、妖怪(あやかし)の間じゃ超がつくほど有名人なんだよ」


龍児はそう綾香に告げると、また忍者のようにヒョイッといとも簡単に塀を乗り越えていなくなった。


  ◇◆◇


その夜、暑苦しくて綾香は布団の上に身体を仰向けに投げ出して、天井を見上げながら考えていた。


電球色の柔らかな光が、天井の木目を朧気に照らしていた時、部屋に祖母が入ってきた。


「まだ起ぎでだの?(まだ起きていたの?)」


「うん」


昨日は疲れてすぐに寝てしまったが、今日は龍児が言った衝撃的な事実の所為でとても眠気をそがれていた。


祖母がパチパチ、パチンと照明の紐を引っ張ると部屋が真っ暗になった。


綾香の布団の隣に祖母が潜った。綾香は身体をひねって祖母の方に顔を向けた。


祖母は妖怪(あやかし)マニアであり宗教の信者だ。祖母になら龍児のこと話してみてもいいかなと思った。


「お祖母ちゃん、妖怪(あやかし)って、本当にいると思う?」


祖母はゆっくり寝返りを打ってこっちに顔を向けたように感じた。


「んだな。残念ながらおいだば(私は)未だ見だ事はねんだども(ないけど)、絶対にいねっていう(いないっていう)証拠もねんだんだども(ないんだけど)、昔のふとがあいだげ(人があれだけ)、本などに書いで、『居る』で言うんだんて、居るんでねのがな(と言うんだから、居るんじゃないのかな)」


祖母が続けて言った。


「この現川(うづづがわ)村さ伝わる、妖怪(あやがし)何度も探したんだ。悪さしねよう退治するべで思ってね。一人じゃおっかながったがら(一人じゃ怖かったから)宗教やってね。毎日拝んでねどおっかなぐでよ(ないと怖くてさ)」


「宗教に入信をしたのは、妖怪(あやかし)退治のためにやり出したんだ?」


「んだ。(そうだよ。)宗教さ入信するのはどうしたらえが分がらねがったんだども、(良いか分からなかったけど)お祖父ぢゃんが亡ぐなった後に宗教のおなごが二人来てね、妖怪(あやがし)の話ししたら、入信して朝晩、勤行欠がさねば、その妖怪(あやがし)に悪さされる事はねがらって言われでね」


(ああ、ダメだ。お祖母ちゃんには話せない。龍児が妖怪(あやかし)だとバレたら、真っ先に退治しようとするだろうから……)。


「きっといるよね、妖怪(あやかし)……」


綾香は寝返りをうって身体の向きを変えた。祖母に背中を向けて、手足を胸に引き寄せて横向きの体育座りをしながら目が冴えて仕方なかった。


寝付けずにいると、祖母が「ふふふっ」と笑った。


「どうしたのかな。宿題をしないでお昼寝でもしちゃったの?」


(ああ、そうか。 きっと、あの時に綾香は夢を見ていたんだ。そうだよね。龍児が、妖怪(あやかし)と言う話しは夢の中の話しだったんだ)。


「うん、寝ちゃったのかも……」と綾香が祖母に返事をして目をつぶった。


祖母の手がポンと綾香の布団を叩き、「ねっぺ(おやすみなさい)」と包み込まれるような優しい声に、綾香は安心してゆっくり眠りに誘われた。


――つづく。