無理(上・下) 奥田英朗さん著
新型コロナウイルス蔓延の為、不要不急の外出はしないとの要請を受け、更には緊急事態宣言が発令されました。
私たち一般人は、有名人や財界人とは違い、注意喚起やマスクや金銭の寄付そして寄宿舎などの提供などできないので、仕事や食品などの買い物以外は自宅でジッとしている事が日本国民としての責務と思っています。
そこで、家にいるならテレビやネットを見る事や本を読む事、そして庭いじりや散歩ぐらいしかできません。
先日、図書館で借りた本です。
上下2冊の長い物語でしたがスラスラとページがめくれました。
3町が合併してできた東北の小さな閉塞感漂う田舎街で暮らす、その場しのぎの短絡的考えで行動し、問題があらぬ方に悪化して二進も三進も行かなくなった大人たちや東京の有名大学に通うのを夢見た何処にでも居そうな少女など5人の老若男女の物語でした。
社会福祉事務所の友則が、今の金に困っている人に一円でも金を置いていかなかったからと殺人に至るまでの行為をされる事には現実味があるのかどうか疑問ではありました。
そして魔が差して万引きをしてしまう元保安員の妙子が、逆の立場になって保安員から説教されるシーンが印象的でした。
誰しもその立場になってみないとわからない事で、いつかは我が身と、他人には日頃、親切にしておかなくてはいけないと身に沁みました。
その5人が最後に接点を持つ場面は、雪道で繰り広げられた車の玉突き事故で、問題解決となる大胆なストーリーに「えっ、これで終わり」と、少々残念な終わり方ではありましたが、全体的には面白いストーリーでした。
読み終わってトイレにはいると、妻が毎日、日捲るカレンダーが目に入りました。
この本の言いたい事は「これが結論かも?」と思った次第です。
15日まで借りられますが、早めに返します。